第17回 御導師は必要な人の巻
かおりちゃんにはずっと疑問に思っている事がありました。
それはお寺にお参りした時や、おうちで御講などがあった時にいつも思っている事でした。
「ねぇお母さん。どうして御導師は偉いの?」
「え、いきなりどうしたの?」
「だってね、みんな御導師に対して正座した挨拶するし、おうちに来る時は外で待っていたりするじゃない。それに御導師より年上のおじいちゃんやおばあちゃんもみんな御導師に頭を下げて挨拶するでしょ?そんなの普通の人にはしないよね。だから御導師は偉いの?」
「あー、わかった。かおり、そういう時はね、御導師は『偉い』というよりも、『敬うべき人』とか『大切な人』という言葉を使うのよ」
「偉い人と敬う人は違うの?」
「偉い人というのは権力や地位を持っている人の事を言うけれど、大切な人というのは無くてはならない必要な人のことを言うのよ」
かおりちゃんはきょとんとした顔をしています。
「かおりはお寺に行く事とか、お看経することが大切な事だってわかってるわよね?」
「うん。だからみんな元気でいられるんだよね」
「そうよ。そういう大切な事や功徳の積み方や御利益の頂き方を教えてくれるのが御教務様なの。仏様の教えを正しく私達に教えてくれる仏様の御弟子と認められた方、とも言えるわね。だから信者である私達は、御教務様に対して仏様や御祖師様をお迎えするような気持ちで、敬いを持って接する事で功徳を積む事が出来るの」
「だからみんな頭を下げて挨拶するの?」
「そうよ。功徳を積む為の第一歩だからね」
「へー、そうなのかぁ」
「学校で先生が知らない事を教えてくれるから漢字が書けたり、算数が出来るようになるでしょ。ご信心の世界では御導師が先生にあたるの。お寺の御教務様や信者さんの先頭に立って私達に功徳の積み方を教えて下さるのよ」
「そっか。御導師がいないとご信心の事を勉強出来ないんだ」
「そうね。だから御導師は『無くてはならない大切な人』なのよ」
「ホントだね」
今まで御導師は『偉い』から『怖い人』というイメージを持っていましたが、今度御導師にお会いしたら自分から挨拶をしようと思ったかおりちゃんなのでした。