>>かおりちゃんの信行日記


第3回 100%の力を出すにはの巻

今日は楽しい運動会。かおりちゃんは、50メートル走で1位を取れるように御宝前様に一生懸命、何日も前からお願いしていました。
「ずーっと、御宝前様にお願いしたんだから絶対に1位が取れる!」と自分に言い聞かせ、ドキドキする気持ちを胸にスタートラインに並びました。
「よーい、パァン!」
みんな一斉にスタートしました。かおりちゃんは1位でスタートしましたが、途中で転んでしまい結局ビリでゴールしました。
「どうして?御宝前様にお願いしてきたのに……」

運動会が終わって、家に帰ってからもかおりちゃんは元気がありません。夕飯の時もずーっと黙ったままです。
「かおり、今日の運動会のかけっこ、残念だったなぁ」
お父さんがビールを飲みながら言いました。
「ずーっと御宝前様に1位になれますようにってお願いしてたのに、願いが叶わなかったんだよ。かおり、一生懸命お願いしてたのに……」
かおりちゃんがブーッと口を尖られている顔を見て、お父さんは笑い出しました。
「はっはっは、それじゃあ1位にはなれないなぁ」
「なんで?御宝前様にお願いしたら何でも叶うんじゃないの?」
「そんな都合のいい話があるならみんな本門佛立宗の信者になって、悩みなんか無い世の中になってるよ」
かおりちゃんはお父さんの言葉を聞いてきょとんとしています。
「かおり、人が今迄してきた悪いことを【罪障(ざいしょう)】というんだ。人が何かをしようとする時、この【罪障】が邪魔をして100%の力が出せなくなってしまうんだ。人によっては1%の力も出せないかも知れない。御宝前様は人が持っている100%の力が出せるように【罪障】を消してくれるんだ」
「じゃあ、かおりが1位を取れなかったのは【ざいしょう】のせいなの?」
「御宝前様にお願いしたって言ってたけど、御看経をちゃんとさせてもらったか?」
かおりちゃんは小さい声で答えました。
「……ちゃんとしてない」
「ちゃんと御看経しないと罪障は絶対に消えないよ。それに1位を取るために何か練習とかしたか?」
「……何もしてない」
「それで1位になろうなんて考えてたら駄目だよ。御宝前様はきっと怒ってるよ」
そう言ってお父さんはビールをグーッと飲み干しました。
「再来週、地区の運動会があるけど、それまでに練習したら1位になれるかなぁ」
「かおりが1位になれるだけの実力があれば、きっとなれるよ」

それから、2週間の間、かおりちゃんはお母さんと一緒に走る練習と御看経を頑張りました。
そして、地区の運動会の日がやってきました。
「100%の力が出せますように。南無妙法蓮華経……」
かおりちゃんの番が来てスタートラインに並びました。不思議なことにこの前のように緊張はしませんでした。
「よぉい、パァン!」
みんな一斉にスタートしました。すごい接戦の中、ゴール手前でかおりちゃんが前に出て、そのまま1位でゴールしました。
「やったぁ!」
家族席を見ると、お父さんとお母さんの喜んでいる姿が見えました。
「100%の力が出せたんだ。御宝前様、ありがとうございました」

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