第27回 佛立宗を作ったのは誰?の巻
少しずつだけど、ご信心の事がわかってきたかおりちゃん。
だけど、まだまだわからないことだらけです。
そんなある日のお寺の帰り道、かおりちゃんは難しい顔で何かを考えていました。
「その算数をやっている時みたいな顔で、何を考えてるの?」
お母さんが笑ったので、かおりちゃんはぶーっとほっぺたを膨らませてみせました。
「もぅ、まじめに考えてるの!」
「どうしたの?お寺でなにかあったの?」
「あのね、佛立宗を作ったのは御祖師様(日蓮聖人)なの?それとも開導聖人なの?先に生まれたのは御祖師様なのに、どうして開導聖人が作ったことになってるの?」
「あらあら、本当に難しい考え事ね」と、お母さんはビックリして言いました。
それから少し考えて、お母さんは話してくれました。
「まずね、今の佛立宗になるまでに、大きく分けて3つの流れがあります」
うんうんとかおりちゃんは頷きます。
「1つめ。佛立宗を作られたのは仏様です」
「えーっ!なんで?どうしてそんなことがわかるの?」
「仏様の教えは、世間で【仏教】と言われているわよね。でもね仏教には『仏様の時代用の教え』と【末法】と言われている『今の時代用の教えがあるのよ』
「まっぽう?」
「仏様はね、末法に必要な教えは【本門八品の御題目】であると、遠い遠い昔に、上行菩薩にだけそのままお教えになったのよ」
「どうして上行菩薩にだけ教えたの?」
「末法に本門八品の御題目を伝えるのはとても強い決心が必要で、並大抵のことではできないことなの。そして、それができるのは上行菩薩しかいらっしゃらなかったのよ」
「ふーん」
「そして2つめ。上行菩薩の生まれ変わりである御祖師様が、末法と言われる今の時代に、本門八品の教えを弘められました。だけど、御祖師様がお亡くなりになってからは、大事な教えがだんだん間違えた解釈をされだし、仏様が教えてくださったものとはかけ離れたものになってきたのです」
うんうん、とかおりちゃんはおとなしく聞き入っています。
「そこで3つめ。本当の教えからかけ離れたものを、元の正しい教えに戻し、私たちにわかりやすいように教えてくださったのが、開導聖人となります」
「えーとそしたら、佛立宗を作ったのは仏様で、それを弘めたのが御祖師様で、でもだんだん間違われた教えになってきて、それを開導聖人が正しい教えに戻した――というわけになるのかな?」
「そう、そのとおりよ」
うーん、とかおりちゃんは少し考えてから「わかった!」と言いました。
「佛様がたてた宗だから、【佛立宗】って言うんだね」
かおりちゃんの答えを聞いて、おかあさんは「よくできました」とにっこりとわらいました。